7 God Bless You
この歌詞は、私たちの教会のキャンプが開催された時、一緒のキャビンに泊まられた金子満さんという80歳代の方への祈りが素材になっています。ある年の9月ちょうどキャンプの日に台風がその地方を直撃しており、私たちは午後の時間のリクレーションをやめて、各自部屋でお休みするということになりました。私のキャビンには金子満さんと息子であり彫刻家である金子健二さん、そして私の3人が宿泊することになりました。金子健二さんは、私と同年代の彫刻家であり、日本で認知症のりはびりプログラム、アートセラピーをはじめた方です。健二さんは、他の人たちと近くに温泉があることを発見し、一緒に出かけることになりました。私は金子満さんと部屋に残ることにしました。
金子満さんは温厚な方で「仏の満さん」と呼ばれるほど柔和な人でした。「関根先生の説教、私は大好きだよ」と言ってくださって、励ましてくださいました。でも、その日、そのキャビンの中で満さんが初めて、私に愚痴をこぼしたのです。「こんなことが、あってねえ、私も心が重いですよ。」ととつとつと話してくれたのです。私は、それを聞きながら、ひとつひとつの事柄について、「大変ですよね、私には答えはわかりませんけど、祈りますよ」と話していました。しばらくして、「私は、ちょっとお昼寝します。」と満さんは、近くのベッドに横になりました。私は、毛布をかけてあげて、枕元で「ゆっくり休んで下さい。でも寝る前に私にお祈りさせてくださいね。」と言って祈ったのです。満さんの心の痛みに答えるすべを私は知りませんでしたが、祈ることができるということは大きな喜びでした。そして、祈り終わった時には、満さんは眠っていました。
ふと、祈りの言葉を思い出し、そうだ、これは歌になるかもしれないと思って歌詞にしました。人の祝福を祈る曲がもっともっとあっていいはずだと思ったのです。「神様の祝福がありますように」、「神様がともにいてくださいますように」というふたつの願いがテーマとしてはっきりわかる歌詞にしたいと思いました。私はキャンプ場から岩渕さんに確かファックスだったか、メールで歌詞を送りました。
それから数週間後、岩渕さんから電話があり、「God
Bless Youの歌ができました、デモテープを送ります」とのことでした。心待ちにしていました。まだデモテープが届く前でしたが、ある朝、私のところに悲痛な電話がありました。金子満さんが急死したのです。そして、その連絡の直後、God
Bless Youのデモテープが私の手もとに届きました。私は、それを持参して、葬儀の用意をしている息子さんの健二さんと一緒に聴き、泣きました。でも、こういう祈りを満さんのために捧げることができたことを、心からうれしくも思いました。そんなわけで、この曲は、金子満さんという私が敬愛してやまない、クリスチャンのおじいちゃんのための祈りが歌詞になっています。
多くの人たちに歌われていることを本当にうれしく思います。
人の祝福を祈ること、人の祝福を歌うこと、これは私たちに託されている大事な奉仕かもしれないと思っています。 関根一夫